核心サマリー
- 3分の1近くがソフトウェア購入を撤回
- 生産性は向上したがコストは横ばい
- 運用コストは設計段階の制約
- 今週確認すべきこと一つ
マッキンゼー(McKinsey)が今週公開した調査によると、大企業は中小企業よりも速いペースでエージェント型AIを拡大しており、その利用も急速に増えていることが分かりました。複数の業界と企業規模にわたり、従業員1,700人以上を対象とした調査です。中でも最も注目すべきは購買判断の変化です。報告書は、エージェント型AIを拡大している一部企業がコーディングツールでソフトウェア購入の一部を代替していると指摘しています。回答者の3分の1近くが、もはや社内で自作できるという理由でソフトウェア機能を少なくとも一つ以上購入しないことに決めたと回答しました。
生産性は向上したがコスト削減の回答は変わらず
報告書によると、回答者の5人中4人はAIが自身の生産性を高めたと回答しました。しかし企業単位の財務成果はまだ伴っておらず、AIでコストを削減したと答えた従業員の比率は昨年と変わりませんでした。運用コストの負担も調査結果にはっきりと表れています。回答者の5人に1人は、運用コストのために組織がAIの利用範囲を制限していると回答しました。それでも28%は全社の情報通信技術予算の10%以上をAIに費やしており、来年にはその比重がさらに拡大すると見込んでいると答えました。人材面では、今年テック業界で人員削減があったものの業界全体の雇用数は維持されており、労働市場はAIを使いこなせる人材に有利に動いていると報告書は伝えています。企業の3分の2ではAIに関連する変化がほとんど、あるいは全くありませんでした。
「買う」と「作る」を再定義せよという助言
報告書の共同執筆者でクアンタムブラック(QuantumBlack, AI by McKinsey)のシニアフェローであるマイケル・チュイ(Michael Chui)氏は、エージェント型ツールは従来のツールより計算資源を多く消費しコストも大きいものの、技術責任者たちはこうした活用に価値を見出していると述べました。同氏は、組織がAI支出のROIを最適化する新たな規律を作りつつも、投資はさらに拡大する計画だと語りました。また、チャットボットのように組織全体で使われるAIツールへの支出は、オフィス生産性・コミュニケーションツールと同様に事業に必要な経費として管理されており、エージェント型コーディングツールがソフトウェア開発の一部を社内に取り込むより有力な選択肢を生み出していると述べました。開発者の役割がコードを自ら書くことからAIの成果物を管理することへとシフトしているのも、この変化の一部だとチュイ氏は説明しています。
マッキンゼーのシニアパートナーであるリーヴェン・ファン・デル・ベッケン(Lieven Van der Veken)氏は、IT支出を最適に管理するには、何かを作らずに買う時点を意図的に判断する必要があり、自社の技術と変革課題により多くの責任を自ら負うべきだと述べました。同氏は、運用コストを後回しの問題としてではなく設計上の制約として扱うべきであり、価値実現に必要な分だけ業務フローを深く変革することも同時に進んでいると付け加えました。
韓国企業のAXへの示唆
この調査は韓国国内の回答を別途区分してはいませんが、韓国企業がすぐに応用できる判断基準は三つあります。第一に、購買判断の基準線です。ライセンス更新や新規ソフトウェア導入を検討する際、その機能が社内で作れる範囲なのか、そして作った後の保守・運用を誰が担うのかを契約前に判断する手続きがあるかどうかを確認する価値があります。第二に、運用コストを設計上の制約として扱うべきという助言は、導入を決定した後ではなく設計段階であらかじめ計算コストの上限を定めておく方式に落とし込むことができます。第三に、生産性と財務成果は同じ指標ではありません。今回の調査でも個人の生産性向上は5人中4人が回答した一方で、コスト削減の回答比率は昨年と同じでした。今週自組織で一つだけ確認するとすれば、社内のAI成果報告に生産性指標とコスト指標が別々に記載されているか、そしてコスト指標が実際に測定されているかを数えてみることです。
出典: Enterprises bet on agents to build in-house software, boost productivity
