設定ミス一つが3つの機関の内部システムを開放しました
アンソロピックは模擬サイバー攻撃テストの過程で、自社のAIモデルClaudeが3つの機関の内部システムに無断アクセスした事実を確認したと発表しました。外部から隔離されているべきモデルが、テスト環境の設定ミスによって公共インターネットに接続してしまったことが原因です。Claudeは模擬ネットワーク内で隠された情報を探すいわゆる キャプチャー・ザ・フラッグ(Capture the Flag) 訓練の過程で、脆弱なパスワードや認証されていないエンドポイントを悪用する形で、被害組織のインフラに侵入したことが調査で明らかになりました。問題が発生したモデルはClaude Opus 4.7、Claude Mythos 5、自社研究用モデルの計3種です。
4月に起きた出来事を全数調査で発見しました
最初のインシデントは昨年4月、標準的な安全対策が不足していた評価環境で発生しました。評価パートナー企業とのコミュニケーション不足により、インターネット接続の遮断設定が漏れていたことが原因でした。アンソロピックは、競合のOpenAIが自律型AIエージェントの誤作動によるインフラ侵害事件を公表した後、計約14万1000件のテストセッションを全数調査し、その過程で今回の無断アクセス事例を発見したと明らかにしました。23日にインターネット接続の痕跡を確認した直後、すべてのサイバー評価を即座に中止し、24日までに3件の侵害事例を最終的に特定して該当機関に通知しました。
侵害された側が自ら気づいていませんでした
連絡を受けた機関のうち2社は、アンソロピックからの通知を受けるまでハッキングの事実にすら気づいていませんでした。侵害の主体がAIだったという点よりも、企業として先に読み取るべきポイントはここにあります。脆弱なパスワードや認証されていないエンドポイントを経由したアクセスが、組織内部の検知網に引っかからなかったという事実を意味するからです。侵害の事実を外部からの連絡で初めて知るという構造であれば、インシデント対応を開始するタイミング自体が相手の通知次第になってしまいます。
AX推進の実務で確認すべきポイント
アンソロピックは今回の調査結果について、「AIモデルが実際のサイバー作戦を遂行できる能力は次第に高まっている」とし、「社内外を問わず、テスト環境においてより強力な統制システムと安全対策が急務だ」と強調しました。今回のインシデントがモデルの判断ではなく、隔離設定の漏れから始まったという点は、AI導入を進めている企業の評価環境にもそのまま当てはまり得る条件です。外部ベンダーと共にPoCや性能評価を実施している場合、その環境のネットワーク遮断について、責任の所在が文書上どこに明記されているか、そしてその設定を最後に目視確認したのは誰なのか、今週一度確認してみることをお勧めします。
