ITサービス企業各社が、産業現場に適用されるフィジカルAI市場の先取りに乗り出しています。ロボットや大型設備といったフィジカルAIのハードウェアはメーカーが担いますが、次世代工場の頭脳にあたるデータやロボット・AIプラットフォームは、ITサービス企業が強みを持つ分野とされています。産業現場のロボットや設備が自ら業務を判断し、人と作業を分担して遂行する 工場オペレーティングシステム(OS)を開発し、これを基盤に自律型の「インテリジェント工場」を構築することが共通の方向性となっています。
4社が押さえたレイヤーは異なります
POSCO DXは、製鉄所の主要工程をAIで制御し、大型設備が人手を介さず自ら稼働する「インテリジェントファクトリー」の青写真を提示しました。引退を控えた熟練工の暗黙知をフィジカルAIの核心データへ変換することが軸です。鋼材を運ぶ大型クレーン、ヤードの原料を移送するリクレーマー、船舶原料の荷役機など数十トンに及ぶ設備にフィジカルAIを組み込む「設備ロボット化」を推進中で、これらの設備は現在試運転段階にあり、早ければ今年下半期に商用化して製鉄所へ導入する予定です。
SK AXは先月、製造現場をロボット中心へ転換する「製造RXフルスタックサービス」を本格化すると発表しました。ロボット導入前に仮想環境でリスク要因を検証し、工場ではロボットと生産管理システム(MES)、設備データをリアルタイムで連携させ統合管制することが特徴です。SK AX関係者は「半導体産業において現場データの蓄積や関連システム・実証モデルを検証中で、これを造船産業にも拡大する予定」と述べました。
LG CNSは昨年5月、ロボットの学習から統合管制までの全周期を管理するロボット転換(RX)プラットフォーム「フィジカルワークス」を発表しました。従来は数カ月かかっていた産業用ロボットの現場投入期間を1〜2カ月に短縮することが目標です。現在、LXパントスやコリーなど主要産業分野の顧客企業20社以上とロボットの概念実証(PoC)を進行中または完了しており、最近はLG電子と1897億ウォン規模のフィジカルAIインフラ構築契約を締結しました。
三星SDSも、産業現場に投入されるロボットを制御するプラットフォームを準備中です。先月、三星ベンチャー投資を通じて米ウォルデン・ロボティクスへ戦略的投資を実行し、決算発表後のカンファレンスコールでは「ウォルデン・ロボティクスへの投資を皮切りにグローバルロボット企業との協業を拡大し、多様なロボットを統合・制御して製造実行システムと連携させる『ロボットオーケストレーション』事業を推進する」と明らかにしました。
導入を検討するなら、まずどのレイヤーの問題かを
4社が打ち出したものを並べてみると、押さえたレイヤーがそれぞれ異なります。設備自体を自律化するレイヤー(POSCO DX)、導入前の検証と統合管制のレイヤー(SK AX)、ロボットを現場に投入する速度のレイヤー(LG CNS)、異なるロボットをまとめて制御するレイヤー(三星SDS)です。自社のボトルネックが「設備が判断できない」なのか、「導入前にリスクが見えない」なのか、「投入に数カ月かかる」なのか、「ロボットごとに管理体系がばらばら」なのかによって、まず見るべきレイヤーが変わってきます。
LG CNS関係者は「スマートファクトリーとロボット投資は、短期的な生産設備の増設ではなく、人件費上昇や生産人員不足、品質・安全基準の強化に対応するための戦略的投資だ」と述べました。今週確認すべきことを一つだけ挙げるとすれば、自社現場でロボットや自動化設備を新たに導入する際、発注から実際の稼働まで何カ月かかったかを過去の事例から数えてみることです。その数字が出れば、上記4つのレイヤーのうちどこを先に見るべきかも同時に明らかになります。
